ケビン・オアー 日本代表ヘッドコーチの退任 及び 新ヘッドコーチ就任についてのお知らせ

2023年6月22日

お知らせ

この度、一般社団法人日本車いすラグビー連盟(所在地:東京都港区、理事長:髙島 宏平、以下、JWRF)より、ケビン・オアー日本代表ヘッドコーチの退任が決定いたしましたことをお知らせいたします。
なお、後任の日本代表ヘッドコーチには、岸 光太郎氏が就任することをあわせてお知らせいたします。

2017年より、車いすラグビー日本代表ヘッドコーチとして、指揮をお願いして参りましたケビン・オアー氏について、6月29日(木)〜7月2日(日)に、東京体育館で行われる「三井不動産 2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」(以下、AOC大会)をもちまして、退任することが決定いたしましたことをお知らせいたします。

ケビンヘッドコーチが2017年に就任し、その新たな環境の中、臨んだ2018年IWRF世界選手権では初の決勝進出。そして、決勝戦では、オーストラリアに62-61で勝利し、世界選手権初優勝を果たすことができました。以降も、戦術や練習方法を徹底的に選手たちへ教え、悲願でもあるパラリンピックでの金メダル獲得という大きな目標に向かって、チームの団結力も作り出していただくことができました。
忘れもしない、東京2020パラリンピックでは、負けなしで進んだ準決勝で、強豪国のイギリス代表に49-55で惜敗。選手たちの涙と共に、ケビンヘッドコーチも共に涙し、悔しい思いを分かち合いました。しかし、その夜のミーティングで、気持ちを切り替えることの大切さを選手たちに語りかけ、翌日の3位決定戦では、全員が銅メダル獲得へ向け一致団結。オーストラリア代表に60-52で勝利し、見事、2大会連続の銅メダル獲得を成し遂げました。

時に厳しく、時に優しく、プライベートでは選手にもスタッフにも誰にでも優しく、冗談も言い合える、そんな今の日本代表チームの雰囲気もケビンヘッドコーチ自らが作り出していただき、JWRFのミッションである「障がいがある人もない人も分け隔てなく喜怒哀楽を共有できる瞬間を数多く作り出し続けること」を大いに体現してくださいました。

ケビンヘッドコーチに教えていただいた、車いすラグビーの基礎から戦術など、今あるすべての競技スタイルを構築された功績は、これから先も決して色褪せるものではありません。なによりも、車いすラグビー日本代表を、世界の競合国としっかりと戦えるチームに作り上げていただいたことに、最大限の感謝と敬意をお伝えしたいと思います。

今回、ケビンヘッドコーチが退任する理由ですが、今までのように定期的に渡航し、日本で指揮していくことが体力的に厳しくなってきたことが大きな理由となります。また、本国アメリカで、家族と共に過ごす時間をもっとも大切にしていることもあり、ケビンヘッドコーチよりお話がありました。日本代表チーム、JWRFとして、ケビンヘッドコーチと、たくさんの話し合いの機会を設けて参りました。その話し合いを重ねる中で、最終的に、日本代表チーム、JWRFとして、ケビンヘッドコーチの意思を最大限に尊重し、しっかりと気持ちを受け止めることといたしました。そして、この度、皆様へお知らせする運びとなりました。

ケビン・オアー日本代表ヘッドコーチの経歴

【 国 籍 】アメリカ合衆国
【生年月日】1968年6月29日(54歳)
【指 導 歴】
全米選手権 5連覇(10連続決勝進出) Lakeshore Demolitionヘッドコーチ(1999年〜2003年)
車いすラグビーアメリカ代表ヘッドコーチ(2002年〜2004年)
1999ワールドウィルチェアーゲーム・・・育成チーム(金メダル)
2002世界選手権(銀メダル)
2003ワールドウィルチェアーゲーム・・・育成チーム(銅メダル)
2004アテネパラリンピック(銅メダル)
ウィルチェアートラック競技USAチームコーチ(2005年〜2008年)
車いすラグビーカナダ代表ヘッドコーチ(2009年~2016年)
2010世界選手権(5位)
2012ロンドンパラリンピック(銀メダル)
2014世界選手権(銀メダル)
2015ワールドチャレンジ (金メダル)
2016リオパラリンピック (4位)
車いすラグビー日本代表ヘッドコーチ(2017年〜2023年7月)
2018 世界選手権(金メダル)
2019 車いすラグビーワールドチャレンジ2019(銅メダル)
2021東京パラリンピック(銅メダル)
2022 世界選手権(銅メダル)

ケビン・オアー日本代表ヘッドコーチのコメント

After 6 years of traveling back and forth every month from Alabama to Japan, the miles and time of travel has been very difficult.  This has caused a lot of sleeping difficulty and is now beginning to effect my health.  I have missed many personal occasions with my family due to travel.   For physical and mental well-being, I have decided it is time to resign and leave  to program while it is competing at a very high level.  I feel the team is the best in the world and the time for transition is possible due to the quality of players and staff that are currently involved.  I am very thankful for the opportunity to work with such a great program, I am not the cause for the success but I was able to help bring out the best in what existed.   Japan has taught me so much and I will miss the culture and deep respect for others that is rooted in the people of Japan.  I have never felt like an outsider and have felt like family.

アラバマと日本を毎月往復する生活を6年間続けてきましたが、その移動にかかる距離と時間はとても大変なものでした。これにより、睡眠障害も多く、今では健康にも影響が出始めています。また、渡航により、家族と過ごす時間の多くを犠牲にしてきたことは確かです。身体と心の健康のためにも、私は退任し、今の日本代表が非常に高いレベルで戦っている間に離れることを決断しました。
日本代表チームは世界最高峰だと思っており、現在関わっている選手とスタッフの質の高さから、移行は可能で、そうしたタイミングで私が退任することが適切だと考えました。このような素晴らしいチームで指揮してこられたことにとても感謝しています。私が成功の要因ではありませんが、日本代表チームが元々持っていた力を最大限引き出す手助けをすることはできました。日本代表チームは多くのことを教えてくれましたし、日本の人々に根付いている文化や他人を思いやる気持ちを恋しく思うことでしょう。そうした環境の中で、疎外感を感じたことは一度もなく、私は日本代表チームを家族のように感じています。

後任について

後任の車いすラグビー日本代表ヘッドコーチには、岸 光太郎氏が就任することが決定いたしました。
岸 光太郎氏は、2022年度まで日本代表強化指定選手として現役プレーヤーとして活躍。2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会で日本代表に選ばれ、リオデジャネイロ大会では初の銅メダル獲得に貢献しました。2022年度末をもって、日本代表強化指定選手を引退しましたが、現在も、クラブチームAXE(アックス)に所属し、クラブチーム選手として活躍しています。
岸 光太郎氏の日本代表ヘッドコーチ就任は、2023年8月1日を予定しております。

岸 光太郎 日本代表新ヘッドコーチの経歴

【出 身 地】埼玉県さいたま市
【生年月日】1971年10月8日(51歳)
【ク ラ ス】0.5
【所  属】AXE(埼玉)選手
【略  歴】
・1998 車いすラグビー競技をはじめる
・2010 世界選手権 日本代表(銅メダル)
・2012 ロンドンパラリンピック 日本代表(4位)
・2016 リオパラリンピック 日本代表(銅メダル)
・2018 世界選手権 日本代表(金メダル)
・2019 車いすラグビーワールドチャレンジ2019日本代表(銅メダル)
・2022 三井不動産 2022 車いすラグビーSHIBUYA CUP(日本代表アシスタントコーチ)

岸 光太郎 日本代表新ヘッドコーチのコメント

この度、車いすラグビー日本代表ヘッドコーチという大役を引き受けることにいたしました。
ケビンヘッドコーチが築き上げた、この車いすラグビー日本代表の戦略、熱い想いを継承し、その教えをベースに、今まで以上に勝ちにこだわる強いチームへ革新をしていきたいと思います。来年のパリ・パラリンピックまで残された短い期間の中で、選手1人1人の個性・スタイルを改めてしっかりと見て、調整し、チームづくりを行います。
目標は、パリ・パラリンピックでの金メダル。その目標に向かって、さらに突き進みます。

車いすラグビーを応援してくださる皆様へ

まもなく行われるAOC大会が、ケビン・オアー氏の日本代表ヘッドコーチとして指揮する最後の大会となります。
ケビンヘッドコーチ体制の集大成として、日本車いすラグビー連盟全関係者が一丸となり、全力を尽くして、パリ・パラリンピック出場への切符を獲得できるよう優勝を目指しています。特にケビンヘッドコーチをはじめ、日本代表選手・スタッフがそのただひとつの目標に向かって集中しております。
AOC大会の7/2(日) 閉会式終了後に、ケビンヘッドコーチより、ファンの皆様へ直接ご挨拶のお時間を設けさせていただく予定ですので、ぜひ、会場へお越しいただければ幸いです。